
奄美大島(鹿児島県)VOL.7 (2010.3.1)
〜極彩色の自然と豊かな生態系が息づく“東洋のガラパゴス”〜
鹿児島の南南西380キロメートルの洋上に浮かぶ奄美大島。面積は約712平方キロメートルで、北方領土を除くと沖縄本島、佐渡島に次いで日本で3番目に大きな島です。奄美市を中心に5つの市町村からなり、7万人弱の人々が暮らしています。エメラルドグリーンとマリンブルーが織りなす美しい海、マングローブやガジュマル、ヤシの木など亜熱帯性の植物が茂る原生林・・・。ここでは、アマミノクロウサギなど希少種を含め、多くの生き物たちが暮らす豊かな生態系が育まれ、“東洋のガラパゴス”とも呼ばれています。
島全体を取り囲む美しいサンゴ礁の海
奄美大島の海岸線は他の島々に比べると非常に入り組んでいて、特に加計呂麻島と瀬戸内町の間に広がる大島海峡などの島南部ではリアス式海岸に縁取られた風景を見ることも。発達したサンゴ礁が島全体を取り囲み、南国ならではの美しいマリンブルーの海がどこからでも望めます。透明度の高い海に潜れば、そこは極彩色の熱帯魚たちが舞う楽園!魅力的なダイビングスポットがあちこちにあり、全国から多くのダイバーたちが訪れるとか。奄美空港がある島北部は比較的な穏やかな海岸線が続き、白砂のビーチ「土盛(ともり)海岸」や、奄美一の景勝地と言われる「あやまる岬」なども。
一方、複雑な海岸線ながらも波が穏やかな南部の海では、シーカヤックや無人島ツアーなども体験できます。
亜熱帯の原生林やマングローブの森で大冒険
島の9割近くが森に覆われている緑豊かな奄美大島。年間の平均気温が20℃を超えるという温暖な気候に恵まれているため、亜熱帯性の植物が茂る原生林が島のあちこちに見られます。中でも、島の中央部の奄美市街地からわずか10キロメートルほどの場所に広がる「金作原(きんさくばる)」は、まるで太古の時代にタイムスリップしたかのようなワイルドな原生林。ヤシの木ほどもある背の高いシダ類・ヒカゲヘゴが群生し、その陰から恐竜が顔を出しても不思議ではないような気がするほど。この豊かな森にはアマミノクロウサギやルリカケス、アカショウビンなど希少な動物や野鳥も棲息。ただし、そこにはハブが出没することもあるので、島のガイドによるネイチャーツアーに参加するのをおすすめします。
さらに冒険気分を味わいたいなら、金作原の南東に位置する住用村のマングローブ原生林へも足を運んでください。住用川と役勝川が合流する干潟に広がる70万平方メートルもの原生林では、マングローブの茂る迷路のような水辺をカヌーに乗って進むという珍しい体験ができます。
島独特の文化や郷土料理を楽しむ
かつて琉球王国や薩摩藩の統治下にあったこともある奄美大島には、その影響を色濃く受けつつも、沖縄や鹿児島とは異なる独特の文化が息づいています。奄美を代表する伝統工芸品といえば、渋い色合いと手織りによる繊細な模様が印象的な本場奄美大島紬。奄美市の郊外にある「本場奄美大島紬泥染め公園」では、奄美大島紬の基本となる泥染めの見学や体験なども。昔ながらの奄美を再現した穏やかな風景が人気です。
島に伝わる独特の食文化も見逃せません。豊かな自然の中で採れる海の幸や南国特有の野菜を使った料理は、思った以上に薄味であっさり。さっぱりとした鶏スープでいただく「鶏飯(けいはん)」も、ここ奄美から生まれました。
気軽に奄美を楽しむなら、「奄美パーク」へ
南北に長く、さまざまな見どころがある奄美大島。そんな盛りだくさんの奄美の魅力を気軽に楽しむなら、「奄美パーク」へ。ヤシやガジュマルなどの木々や石などを配した南国らしい公園に、美しい海が一望できる展望台や各種施設が点在しています。メインとなるドーム型の建物「奄美の郷」では、CG映像やジオラマなどを駆使して、奄美諸島の自然や歴史、文化などをわかりやすく紹介。館内には島唄など民族芸能が催されるイベント広場や、奄美の郷土料理が楽しめるレストラン、特産品の売店なども。
もうひとつの見どころは孤高の日本画家・田中一村の作品とその生涯を紹介する「田中一村記念美術館」。若くして中央画壇に才能を認められながらも、旅行の途中で心惹かれた奄美に50歳で移り住み、染色工として働きながら、一人、奄美の大自然と向き合って絵を描き続けた田中一村。ここでは10代の頃から69歳で没するまでに描いた作品を年代ごとに展示し、その人生の軌跡を紹介しています。あふれるような才能を持ちながら、無名のまま生涯を閉じた一村ですが、繊細な描写力と独特の色彩感覚は奄美の極彩色の自然と出会うことでさらに磨かれ、遺された作品は見る人の心に強く響きます。
「奄美パーク」は、奄美空港から市街地へ続く県道82号線沿い、空港から5分という便利な場所に建っているので、旅の途中にぜひお立ち寄りください。
写真協力:(社)鹿児島県観光連盟
奄美大島へのアクセス








